国立台湾史前文化博物館(台湾南東部・台東県)は13日、日本の徳島県立鳥居龍蔵記念博物館と協力協定をオンライン締結した。財団法人台南市台日文化友好交流基金会の李退之董事長が証人として立ち会う中、国立台湾史前文化博物館の王長華館長と徳島県立鳥居龍蔵記念博物館の長谷川賢二館長が協定書に署名した。双方は今後、台湾先住民族に関する研究、民族学、考古学、博物館学などの専門領域において連携を深め、台湾と日本の文化交流の発展の一翼を担うことを目指す。
徳島県立鳥居龍蔵記念博物館は、徳島県文化の森総合公園内に位置する。徳島県出身で、日本の人類学者の先駆者として知られる鳥居龍蔵とその研究をテーマとする博物館だ。鳥居龍蔵は日本統治時代の台湾で、台湾先住民族の研究を行った学者として知られる。ガラス乾板のカメラを携帯して台湾先住民族のフィールドワークを行った最初の学者でもある。鳥居は最速のスピードで台湾のほぼ全域のエスニシティ調査を完成させただけでなく、蘭嶼(台東県の離島)にまで足を運び、そこに住むタオ族(鳥居はそれをヤミ族と名付けた)の民族誌をまとめた唯一の学者でもある。当時の台湾先住民族の生活を知る上で大変貴重な映像資料を数多く残している。
国立台湾史前文化博物館によると、両館の協定締結の仲介をしたのは福岡大学の宮岡真央子教授。徳島県立鳥居龍蔵記念博物館は近年、鳥居の研究の大部分のデジタル化を済ませており、国立台湾史前文化博物館との交流拡大を希望していた。双方は2021年5月に初めてオンライン形式で交流。コロナ禍で相互訪問や対面での接触が難しいながらも、その後も着実に交流を続けてきた。両館は今年6月、オンラインで研究計画の交流を行った。そして、研究上でのさらなる協力や学術資源の共有などを推し進めるべく、協力協定を締結することで一致した。先人が築いた研究を土台とし、台湾の考古学や先住民族社会に関する研究がさらに進むよう期待を寄せている。